この法人は、障害の「社会モデル」の考え方を基盤として、聴覚障がい当事者が相互に学び合い、協力し合い、自立した生活を目指す支援を行う団体です。
世界保健機関(WHO)によると、世界の人口のおよそ15%が障がい者であり、障がい者の約80%は開発途上国で暮らしています。2006年12月13日に国連総会において障害者権利条約(CRPD)が採択されました。本条約は「私たち抜きに、私たちのことを決めないで(Nothing about us, without us)」というスローガンをもとに活動をしてきた障がい者団体も加わって作成されました。当事者である障がい者が一緒になって作られた条約というのは国連でも初めてのことで、大変画期的なことでした。
しかし、まだ障がい者の多くは教育が受けられなかったり、就労の機会が制限されたりなど、社会参加の機会が十分保障されていません。結果として、開発途上国の多くの障がい者が貧困者としての生活を強いられています。
聴覚障がい者(ろう者)は視覚からしか情報が得られない特性上、いつ如何なる時でも充分な情報を得ることができません。いわば、情報保障障がい者と言えます。雇用機会も不十分であることから、多くの聴覚障がい者は両親や親類からの援助、ファミリービジネスで生計を立てており、非常に不安定な生活を送っています。また、自立が困難な故に銀行口座や保険サービスといった一般的な金融サービスへのアクセスも極めて困難な状態です。
私たちは聴覚障がい者が自分の可能性を生かし、経済的に自立した生活を営むことができるよう支援し、SDGs(持続可能な開発目標)の目標1にあるマイクロファイナンスとして彼らが小規模ビジネスの運営能力を身につけ、自立し、貧困から脱出することを目指します。
2013年1月から2015年7月までJICA海外協力隊としてドミニカ共和国に赴任していた時に、成人ろう者たちに簡単な算数を指導していた時の写真